以前から行って見たかった奈良パークホテルの食事プラン〈天平の宴〉を体験して来ました。
まず最初にわずかな明かりしかない暗い部屋に通されました。
昔は灯りはこれくらいしかなく、夜の宴は大変暗かったそうでその雰囲気を味わう為の演出です。さすがに料理がよく見えないのでしばらくしたら電気をつけてくれました。
下の写真の手前3つの皿は塩梅料(あんばい)と呼ばれ右からひしお、酢、塩です。基本料理は味付けされておらず、塩梅料を好きに付けて頂きます。しかし、保存のため塩や酢に漬けられているものが多くあまり味付けせずに美味しく頂けました。
奥の4枚の小皿は前菜ので鹿のスモークや干した鮎、塩辛のルーツとなった物、なれ鮨です。素材の味がしっかりしました。
白酒(しろき)と言うお酒で、どぶろくのように甘みがあるお酒でした。
ひらがと呼ばれるとっくりでお酒を注ぐ時、横に倒すように注ぐと良いそうです。
器は漆器もありましたが、ほとんどが素焼きのシンプルな器でした。これには訳があって奈良時代に伝染病が蔓延したくさんの人が亡くなりました。ウイルスなんて物を知らない当時の人々は大変恐れ、けがれを払う意味で器を使い捨てにしていたそうです。
しかも、この器は税として九州などから納められていて、器の大きさなどの規格はきっちり決められていたようです。
また、箸は丸い棒で先が尖っていません。聞くと、平城京から出土した箸は皆この形をしていて、大陸から伝わった形のままで、後に使いやすいように先を細くしたのでは?と言う話でした。
黒米の蒸したもの
黒米のみで頂くのは初めてでしたが、とても香り高く美味しかったです。
猪肉の朴葉包み
ここでも朴葉は使われていました。ラップやアルミ箔が無く、紙も高級品の時代に大きな朴葉は食品を包む為にちょうどよく、香りもよく重宝したのでしょう。
フルーツ
枝豆もフルーツカテゴリーに入ってました。
他にもお料理は色々出てきて、ほとんどの食材は平城京やその付近で採れたものでは無く、税として各地から運ばれたものだそうです。冷蔵庫などない時代に魚介や肉などを都に運ぶためさまざまな工夫がされており、それが現在にも各地の名物として残っていたりして、大変興味深かったです。それにしても、これだけの食材を各地から集めてたと聞き貴族の権力の強さをひしひしと感じました。
奈良パークホテルでは30年前から古代食の復元に取り組んでいて、奈良時代には食事の資料が大変少ない為、出土した木簡に記載されている内容や、平安時代の食事などを参考にこのメニューを作り上げたそうです。
食材一つ一つかなり研究されおり、お料理を作る方の意気込みが伝わって来て、これぞ奈良の名物!と感じました。
昔、歴史の教科書に載っていた奈良時代の食事が実際に味わえて、すごくテンションが上がり楽しい時間が過ごせました。また、何故か料理を食べた後、エネルギーをもらったと言うか、生命力を頂いたような気がしました。
このメニューは作るのに大変手間がかかる為、一週間前に予約をしないといけないそうです。
興味のある方は一度味わってみてはいかがでしょうか?