器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

重陽(ちょうよう)の節句

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こんにちはコタツです。
8月は暑さで死んでいましたが、9月に入り日中も暑さが少し和らぎ過ごしやすくなったので無事生き返りました!

先日スーパーでぼんやり買い物していたら、店内アナウンスで「重陽(ちょうよう)の節句」という言葉が耳に飛び込んできました。

以前、石川県に住んでいた時に友人が食用菊を使って重陽の節句を祝う食事会を開いてくれたことを思い出しました。懐かしくなったので自分なりに「重陽の節句」にちなんだ食事を作ってみようと思います。

「重陽の節句」とは、平安時代に中国から伝わった行事で、古来中国では奇数が陽の数字とされていました。その、陽の最大の数である九が2つ重なる九月九日は大変めでたい日で「重陽」といわれることになりました。

重陽の節句は菊の節句とも言われており、旧暦の九月九日は新暦の2021年では10月14日になります。江戸時代までは旧暦を使っていたので重陽の節句の時期にちょうど菊が咲いていたと思われます。
菊は邪気を払い長寿の効能があると信じられていました。
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昔の人達は菊の花を愛でたりお酒に菊の花びらを浮かべて飲んだりして長寿を願ったそうです。

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いろいろ探してスーパーの成城石井で見つけました。しかし、小さい花しか無く今回はこれを使おうと思います。
たぶんお刺身とかに添える用だと思います。

後で調べたらネットでタンポポみたいに大きな食用菊が売られていました。(来年はいろいろな種類の菊を使ってみよう!)

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とりあえず茹でて見ました。お酢を入れるときれいな色に仕上がります。

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ほうれん草と共におひたしにしました。

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重陽の節句は庶民の間では「栗の節句」とも言われ栗ご飯を食べて祝っていたそうです。
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もう一つ欠かせないのが茄子です。「くんち(九日)に茄子を食べると中風にならない」という言い伝えがありました。

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これは、菊に見えるかなと思って作った餅米肉団子です。それぞれターメリックで黄色を黒米とゆかりで紫に米を染めてみました。下には菊菜でも敷きたかったのですが、びっくりするぐらい値段が高騰していたので大葉にしました。(T . T)

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これもオマケで作った菊花豆腐のお吸い物です。固めの絹ごし豆腐を使ったらきれいに開きました。

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菊の花も飾って重陽の節句膳出来上がり!
ボッチ観菊の宴です。
花は丸ごと食べるなら香りは飛びますが、茹でた方が苦味がマイルドになって良いと思います。花びらは生でもあまり苦味は気になりませんでした。
最近では食べられる花も売られていますが、花を食事として食べるのはなんとも非日常感があっていいですね。

節句は、本来節供と言われ季節の変わり目の行事に神様やご先祖様に食物を供えそれを自分達もいただく食事を意味していました。やがてその行事そのものが節供と呼ばれるようになり、近年節句へと呼び名が変わっていったといわれます。

節供は細かいものもいろいろあるそうですが、以前こちらのブログで雛祭りの記事にも書いたように、江戸時代に公的な祝日として五節句が定められました。
www.utuwa-tabemono.com

一月七日 人日(じんじつ)
三月三日 上巳(じょうし)
五月五日 端午(たんご)
七月七日 七夕(たなばた)
九月九日 重陽(ちょうよう)

五節句の中でも重陽の節句は最も重要な行事でした。
ですが、明治時代になり新暦(現在の西暦)を取り入れたあたりから急速に廃れていったそうです。それは、現在の9月9日はまだ夏の名残があり菊の咲く季節からは離れてしまったからではないかと考えられています。

重陽の節句はハロウィンみたいな派手さはないけれど、菊の花に囲まれて非日常を味わえる素敵な行事だと思ったので消える事なく続けばいいなと思いました。

〈参考文献〉

美しい暦の言葉
著者 山下景子
発行者 金子豊
発行所 株式会社インデックス•コミュニケーション

〈参考にさせていただいたサイト〉

https://kotobank.jp/word/節供-87216

https://www.hibiyakadan.com/lifestyle/z_0064/