器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

小豆粥と粥杖(かゆづえ)

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こんにちは、コタツです。

新年明けましておめでとうございます。
皆さま良いお正月を過ごせましたか?

私は、昨年と同様に元旦から介護施設で仕事をしていました。そして、疲れてヘトヘトになった気晴らしに、大好きなマクドナルドのハンバーガーを爆食いするなんともアメリカンな元旦を過ごしてしまいました。(^^)


さて、お正月のざわめきも少し落ち着いた6日に、京都の八坂神社(やさかじんじゃ)に行ってきました。
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八坂神社は日本3大祭の一つの祇園祭(ぎおんまつり)が行われる神社です。

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本殿(国宝)。

雪が降る寒い日でしたが、きれいな着物で着飾った人達も多かったです。

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おみくじを引いたら大吉でした。✌️

そして、この神社に参った理由は、お正月の時期だけに授与される「粥杖(かゆづえ)」をいただくためです。

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桃の木で作られた「粥杖」。

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無事にいただけたので記念撮影。

お詣りを済ませて八坂神社をあとにします。

バスで烏丸今出川(からすまいまでがわ)まで移動して京都の老舗和菓子店の「とらや」にやって来ました。

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日本庭園もあり高級感のある店内です。

こちらでは、期間限定のお雑煮と花びら餅をいただきました。
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京都のお雑煮は白味噌仕立てでトロミがあり濃厚です。

赤いお椀に白いお雑煮がよく映えて、紅白でおめでたい印象がします。

続いて花びら餅をいただきます。
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花びら餅は、平安時代に新年の宮中行事として行われた、固いものを食べて歯を丈夫にして長寿を祈る「歯固めの儀」で食べられた行事食の「菱花びら(ひしはなびら)」が元です。

年月と共に徐々に簡略化していき、薄くのばした丸餅12枚の上にそれぞれ鮎や飴などをのせて食べていたそうです。

そして、明治維新の頃、菱花びらを見た当時の茶道裏千家(さどううらせんけ)の家元が発案して、京都の老舗和菓子店の「川端道喜(かわばたどうき)」に依頼し作られたお菓子だそうです。

現在でも、茶道裏千家の初釜(はつがま)と言う新年初めて行われる茶行事では、花びら餅が使われています。

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花びら餅には鮎に見立てた蜜煮のごぼう、赤い菱餅、白味噌がはさまれています。

甘い餡に味噌の塩味が効き、ごぼうの風味もする独特な味わいでした。

ごちそうさまでした。

お店に入る時は待たずに入れましたが、出る時は待っている人がたくさんいました。

やっぱり寅年だから「とらや」に来たのかなーと思いました。関係無いか…。


再び粥杖の話に戻ります。
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邪気を払うと言われる桃の木で作られた粥杖は先が2つに割れていて、その間にお札と由来がはさんであります。

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生土宝印(うぶすなほういん)の守札。

少し話が逸れますが、向かって右の「生土」の文字が「牛王」とも読めます。

これは、八坂神社が明治時代の神仏分離政策が行われるまで「祇園社(ぎおんしゃ)」「祇園感神院(ぎおんかんしんいん)」と呼ばれる神仏習合の場であり、その時祀られていた「牛頭天王(ごずてんのう)」の事を表してると言われています。



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小正月の1月15日に小豆粥を炊き、この粥杖でかき混ぜ、炊き上がった小豆粥を一番最初に神様に供えます。

そして、お粥の糊で守札を玄関にはりつけます。

最後に小豆粥を家族揃って食べる事で一年の厄病災難を退けることができるそうです。
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また、古来粥杖は小正月の邪気払いの小豆粥を作る神聖な火を炊く時に残った薪を削って作られました。

この粥杖で、女性の尻や腰を叩くと子が産まれる、または男児が産まれるといった言い伝えがあり、平安時代には小正月に粥杖で尻を叩きあっていたようで、その様子は枕草子にもでてきます。
 
この日、宮中の女性達は粥杖を隠し持ち、追いかけまわしたり、逃げ回ったりと叩き叩かれ合いの賑やかな一日で、叩くほうは喜び、叩かれるほうは悔しがったようです。

特に夫を持つ姫君や女房などは標的にされやすく、この日は皆がお尻を狙われないように気にしていたそうです。

現在では少なくなりましたが、小正月の尻叩きの習慣は各地で残っているようです。

小正月の小豆粥は、特に邪気払いの意味合いが強い行事食だなと感じます。

この後に続く、節分の行事も同じく邪気払いの要素が強くあるのは、この季節は寒さも厳しく体調を崩しやすいからかな?と思います。
医療の発展していない時代は風邪でも油断できません。
行事食は、食材や道具一つひとつに意味を込め作られていたのだなと感じました。

私にとってハンバーガーも大切ですが、日本の行事食も大切にしようと思いました。