こんにちは、コタツです。
2月は逃げると言われるように、「あれっ?気づけば3月やん!」と2月一体私は何をしていたのかなぁと考える今日この頃です。
そんな中、先日お誘いいただき奈良県吉野町の吉野中央木材株式会社(よしのちゅうおうもくざいかぶしきがいしゃ)さまに見学に行って来ました。
最初にこちらの会社が作られている小冊子をいただきました。
こちらの小冊子は、吉野の林業の歴史から木材の加工方法、乾燥の話、さらには、材料を切る時に使う大きな帯ノコの刃の切れ味を保つ方法などがわかりやすく書かれており、読み応えがありすごく勉強になります。
早速製材所内を見学させていただきます。
こちら会社ではヒノキと杉を扱っていて、主に建物の材料などを作っているそうです。
木の断面。
年輪は壁の役割をしていて、吉野の杉は年輪が細かく水が漏れにくいため、酒樽や醤油を入れる樽を作るのにとても適しています。
以前このブログでも書きましたが、吉野林業の特徴は、他の産地の3倍位ぎゅうぎゅう詰めに木を密集させて植える密植(みっしょく)にあります。
そうする事で、日当たりが悪く成長が遅くなり細かい木目に育ち、枝が伸びにくく、偏った日光の当たり方がしないので、まっすぐできれいな円の木に育ちます。
杉の皮を剥く機械。
制御室。
杉の木は剥きにくいため機械を使う事が多いそうですが、ヒノキは人の手で剥かれるそうです。
昔から杉やヒノキの皮は屋根材としてつかわれており、現在でも神社などで使われています。
こちらの画像は大阪府藤井寺市(ふじいでらし)にある道明寺天満宮(どうみょうじてんまんぐう)です。本殿の屋根はヒノキの樹皮を重ねた桧皮葺き(ひわだぶき)で作られています。
ヒノキの皮をミルフィーユのように何層にも重ねています。
私も桧皮を奉賛してみました。
話が少しそれましたが、見学の続きです。
木材を天日で乾燥している所で、天然乾燥と言い時間はかかるけど、木に優しい乾燥方法です。
これに対して温度と湿度を機械で管理して乾燥する方法を人工乾燥と言います。
乾燥不足だと後から木が動いたりするので、建物の材料となるとかなり重要な工程になります。
お椀が歪んでも誰も死なないけど、家が歪んだら下手すれば命にかかわります。
いずれ木材の乾燥の話も記事にしたいと思っていますが、たぶん話の90%位が失敗談になると思います…(T . T)。
工場内部も入らせていただきました。
木材をカンナで削ったように表面をスベスベにする機械です。
とても長くて薄いカンナ屑が出て来て、何かに使え無いかなと思いました。
この機械で木の節(ふし)をくり抜きます。
その開いた穴に違う木材をはめ込みます。そうすることで、見た目が美しい板になります。
大きな帯ノコで木を製材している所。
製材所の見学を終えて、次に「吉野杉の家」に向かいました。
こちらの建物は建築家の長谷川豪さんとAirbnbの共同創業者であるジョー・ケビアさんがコラボして建設されたそうです。
現在も宿泊施設として使われており、民泊サービスのAirbnbから予約する事ができます。
屋根も木で作られています。この屋根は奈良の雪が積もる山間地で昔から作られていた形だそうです。
扉。
内部は床も壁も天井も吉野の木材で作られています。
おもに、1階は杉の木、2階はヒノキが使われています。
薄い板を使った間接照明。
一番良い材料が使われているトイレ!「落ち着きすぎて出てこれなくなるやんか!」
2階の部屋。三角形の窓から朝日が差し込むシンプルで不思議な空間です。
置いている器も吉野杉が使われていました。特にこちらのぐい呑みは、京都の桶屋近藤(おけやこんどう)さんが作られたもので、すごく目が細かい赤身の良材が使われ繊細な作りをしていて日本酒を飲んだらおいしいだろうなぁと思いました。欲しかったのでいっぱい写真撮ってしまいました。
木なのにフワッとした座り心地のよい椅子。
木に包まれながら、目の前の吉野川の流れはずっと眺めていても飽きずにボーっとした時間を過ごすと気分がすっきりしました。
今回、見学させていただいた吉野中央木材さま、お世話になった皆様本当にありがとうございました。
普段私は器作りの視点で木材を見ていますが、建築の視点で木を見ると新たに気づく所が多くあり、楽しかったです。
日本では昔から漆器や陶器でも修理して使う文化が特徴で、家も同様に壊れた部分を修理して何年も住んでいました。
修理しやすいという面が木材の良い部分ではないかと感じました。
日本の大切な資源である木材がこれからの時代に合うよういろいろアイデアを出せたらと思います。
今回、少し長くなったので終わります。
次回は吉野の林業の歴史などお話しようと思います。