器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

杉の木で鏡餅を作ってみる それと物の形の話

こんにちは、コタツです。

11月に入り天気の良い日が多く、遠くに見える山々も赤く色づいてきて毎日でも出かけて行きたい気持ちを我慢しております。

先日、こちらのブログで紹介させていただいた吉谷木工所さんから依頼をいただき、木の鏡餅を作ってみました。

www.utuwa-tabemono.com

今回は、吉野杉を使います。

のこぎりで切るところからスタート。

板材なので、木表と木裏を確認して上下を決めます。

www.utuwa-tabemono.com

器の場合は木表が上の場合より木が動きにくいため基本的に木裏を上にして作ります。

しかし、彫刻などの置物は木表が上になっていることが多いのと、餅の形と年輪の形がこの向きの方が合うと思うので今回は木表を上にします。

正直どちらでも良いかなと思いますが、上の餅と下の餅の向きがバラバラだと少し不細工な気がします。(まあ、それも好みですが)

敷に対しての大きさだけ決めたら後はノープランで削っていきます。

削り始めたのはいいけど鏡餅ってどんな形だったっけ?

大まかな形は思い浮かびますが、細かい部分をどういう風に削ればきれいにそして餅感が出せるのかよくわかりません。

Google先生の鏡餅の画像。

削りながら度々スマホを確認します。

私は造形力が0に等しいため、ある程度参考にする画像が無いととんでもない形になってしまいます。(T_T)

肝心な所を写真に撮り忘れたため、下の段は既に完成し上の段を作成中。

上下の餅がずれないように、はめ込み部分を作りました。

上下のバランスを考えながら削ります。

途中何回か手直しをした後完成!

敷の中に置くと少し雰囲気が変わります。

餅がズレない安心設計⁉︎

1つの木で2段の形にする方法もありますが、それだけ高さのある木が必要になり、材料も高価なものになります。

こういうものを作る場合は、作るものや予算、それにかかる手間などによって材料を2つに分けるか一木で作るか決めたりします。

ここまでで終わるつもりが、やっぱり餅の上に飾るみかんが無いと寂しいなと思い急遽みかんを作成することにしました。

漆の木があったのでこれで作ります。

この材料は切ってから何年も経っているためかぶれることはありませんが、乾燥していない生の木だと削りカスが肌に付くとかぶれる恐れがあります。

形考え中。

バランスを見ながら削り中。

漆の木は中心の赤太部分がとても鮮やかな黄色をしていて、植樹された漆の木は漆を採取した後伐採されます。

材質は柔らかくて軽いので古代の人は水に浮かぶブイ(浮具)として使うこともあったそうです。

とりあえずヘタの所に穴を開けます。

反対側も仕上げます。

餅の底の部分を餅の表面に沿うようなカーブに仕上げて置いた時の座りを良くします。

完成した漆みかんに本物の庭のみかんの葉を挿してみました。

今年は庭のみかんが何もしていないのに豊作です。

やっぱり葉っぱも木で作ってみようかなと思い、その辺でみつけた紫檀(したん)の木のかけらで簡単に作ることにしました。

見本の葉っぱを見ながら削ります。

ヘタクソですが、ある程度気が済んだので終了!(なんやそれ!)

差し込み部分を作りました。

紫檀の木は固いけど欠けやすいので削るとき注意しないといけません。

もう少し葉っぱがしなやかな感じならよかったけど、まあいいか。

今度こそ完成。みかんはほぼオマケというか私の遊びです。

何か新しいものを作る時、最初の形を決めるのが1番時間がかかります。

物の形の良し悪しは好みで決まる部分も大きいですが、やっぱり昔から大切にされている工芸品には形の美しさがあると思います。

奈良国立博物館で毎年秋に開催される正倉院展。 できるだけ毎年行くようにしています。

奈良時代、国内外から集められた超一流の工芸品は、楽器や刀、机の形とか様々なものにセンスが光っていて、気に入った形の物があれば今後の物作りの参考にしたりします。

私はデッサンとか美術の勉強をしたことが無いため、最初は物の形が全く見えずにとても苦労しました。

石川県で轆轤(ろくろ)の勉強を始めた時に自分のデザインの器を作ることになってもどうしていいか全くわからないのです。

そして、考え抜いた末に出来上がるダサい器の数々…。

あまりのセンスの無さに泣きたくなりました。(正確には良いか悪いかも自分でわからない状態)

轆轤の場合は早く挽くためにも特に物のラインを見る目が必要になります。 ある時期「どうしたらラインが見えるようになるんだろうか?」とずっと考えていました。 そうしたら、いろいろなタイミングでラインを見るヒントが与えられて完璧とは言わないまでもなんとなくわかるようになりました。

その後、師匠の元に弟子入り、独立していく中でいろいろな形の器を仕上げました。 自分好みの器もあればそうでない器、同じような形なのに挽きにくい器、挽きやすい器様々です。

そして、師匠や取引先の問屋さんに怒られたり「全然形揃ってないよ!」と注意され恥ずかしい思いをしたこともあります。 でも、そうして注意して下さることで(本当は耳が痛いので聞きたくない。)少しづつ形作りの勉強をしました。

今思えば職人仕事はデッサンをしているようなもので、繰り返しているうちに形のアイデアなどの引き出しが増えて行ったように思います。

その中でも特に印象に残っている言葉は、師匠と同じくらい尊敬しているM先生がおっしゃった言葉で「意識すればいい」というものでした。

その時、器の縁の角度と内側の底(みつけ部分)を髪の毛1本ほど広くして欲しいという微妙なものでした。

その時私は「100個揃えられるか自信がない」と言いました。

するとM先生が「手作業なので100個が全部揃えられるとは思って無いけど意識して挽いてほしい」と話されました。

私は、その時なぜか「そうか!」と腑に落ちました。

しかし、その理由はいまだに全て言葉にできないのです。

なんと言えばいいのか意識することで視野が広がるというか急に見えてくる形があり、意識することで微妙な部分の形を捉えることができるようになるのだと思います。

これは、形作りだけでなく仕事や日々の生活、趣味などでも、興味を持ってより良く向上させようと意識することで、仕事の幅や自分の世界が少しづつ広がっていくのかなと思いました。

私自身、形1つとってもまだまだ見えてない部分が多くありますが、まだ見ぬ素晴らしい形の器を作れるように日々意識していきたいと思います。

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