器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

春日若宮おん祭りにまつわる食べ物

こんにちは、コタツです。
今年は、12月に入ってからも例年ほど気温が下がらず、あまり季節感を感じる事が無く過ごしていると、気が付いたら年末になっていました。

今回は、昨年の12月15日〜18日に奈良市で行われた「春日若宮(かすがわかみや)おん祭り」の一部の行事を見学して、祭に関係する食べ物をいろいろ食べてきた様子を紹介します。


「春日若宮おん祭り」は、1136年に始まり、現在まで毎年途切れること無く執り行われています。

当時、洪水や飢饉で人々が苦しんでいるのを憂えた関白の藤原忠道(ふじわらのただみち)が、若宮神に御神助を願い、春日野(かすがの)の仮御所にお迎えして、さまざまな芸能を奉納しおまつりしたところ、雨が止み作物も豊かに実り天下が無事治った事がおん祭りの始まりだそうです。



祭りは、毎年7月から関連行事が始まり、中心行事は12月15〜18日に行われます。


12月8日〜16日に行われた「先参り」に参拝しました。




春日若宮(かすがわかみや)。

おん祭りの主役の神様である若宮神は春日大社本殿の御子神で本殿から少し歩いた所に祀られています。

参拝を終えると、「意伝坊(いでんぼう)」と呼ばれるお菓子が先着50名に配られました。

意伝坊は、おん祭りに参加する大和士(やまとさむらい)が御神酒を飲む時に食べられたお菓子で、約140年ぶりに春日大社と老舗料亭の「菊水楼」によって復活されました。


材料は、餅米、ゴマ、小豆、山椒、ケシ、味噌が使われており、食感は柔らかめのキャラメルのようでしたが、塩気がありお酒にとても合う珍味でした。


12月15日のおん祭り初日に、餅飯殿(もちいどの)商店街の中にある大宿所(おおしゅくしょ)に行きました。



こちらでは、「懸物(かけもの)」と呼ばれ、キジや鯛などのお供えものが杉造りの小屋にずらりと吊るされていました。



現在ではキジは剥製が使われているそうですが、昔はウサギやタヌキもお供えされていたそうです。


大宿所では、他にもお渡り式と言う時代行列の衣装や大和士がお供えする献菓子、120年ぶりに復興した嶋台や杯台が飾られていました。



午後から巫女が笹でお湯を降り注ぎお祓いをする御湯立(みゆたて)神事と、日が沈んだ午後5時からは大宿所祭が行われました。


おん祭りの時は、各家でこんにゃく、人参、里芋などを煮込んだ「のっぺ汁」を作るそうですが、大宿所でものっぺ汁が振る舞われていました。


冷えた体に温かい汁が染みておいしかったです。


後日、春日大社にある春日荷茶屋(かすがにないじゃや)で祭りの12月16日と17日だけメニューに出されるのっぺいを食べに行きました。



山芋の粥とのセットにしました。

里芋や大根などが大きくて、見た目にも豪華で食べ応えがありおいしかったです。


合間に奈良公園を歩いていると、行事に参加する馬がたくさんウォーミングアップ?していました。


競馬の行事に参加する馬でしょうか。

負けじと鹿達も走ります。


三条通りにある和菓子屋の鶴屋徳満(つるやとくまん)では、かつて祭のとき大宿所にお供えされていた「大折(おおおり)小折(こおり)」と言うお饅頭が約150年ぶりに復活し、小折が販売されていました。



小折。

大きな方が大折。

私は家に持ち帰って食べましたが、店頭で蒸したてを食べてる人もいました。



その後、お渡り式を見学しました。




青空の下、奈良県庁と若草山を背景に歩く時代装束を着た行列が、現在と過去が混ざっているようでとても絵になります。


奈良県庁を出発したお渡り式はJR奈良駅まで
行き、そこから三条通りや猿沢池(さるさわいけ)を通り、春日若宮から移って来られた若宮神の待つお旅所(おたびしょ)に入っていきました。



若宮神に供える神饌が次々と運ばれていきます。





この後お旅所では、若宮神に捧げる芸能が夜遅くまで行われます。

今回は、私の都合もありここまでしか見る事ができませんでした。

いつか、防寒対策を万全にしてメイン行事を全部見る事が出来たらいいなと思いました。


最後にこのブログでも時々登場する餅飯殿商店街にある和菓子屋「萬々堂通則(まんまんどうみちのり)」で販売されている。春日大社の神饌の「ぶと」を模して作られた「ぶと饅頭」を買って帰りました。