こんにちは、コタツです。
春の陽気に浮かれてぼんやり過ごしていたら、あっという間にゴールデンウイークが終わり木々の新緑がまぶしい初夏の季節も通り越し梅雨の足音が聞こえる季節になっていました。
先日、京都府の名産品である宇治茶の産地に行ってきました。
まずは、宇治市から。
宇治川を流れる遊覧船。
現在の10円玉のデザインにもなっている平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)。
みんな10円玉と写真を撮るのに必死でなかなか正面の写真スポットが空かなかないので、違う場所から新緑に囲まれた写真を撮ってみました。(ピントを合わせるの大変なのよ(´∀`))
宇治と言えば平等院の他に宇治茶が有名です。
平等院の周辺には、お茶に関連するお店が多く立ち並び通りにはお茶の良い香りがしていました。
スタバみたいな宇治茶を使ったオシャレカフェもあって若い人達でにぎわっていました。(スタバもありましたよ。)
この日はお天気も良くてちょっと暑かったのでグリーンティーおいしかったです。
茶団子もいただきました。
こちらのお団子は上から煎茶、抹茶、ほうじ茶と3種類の味を楽しめます。
思っていたより一番色の薄い煎茶のお団子の香りが良くておいしかったです。
続いて、平等院から車で20分ほど走った所にある京都府宇治田原町(うじたわらちょう)を訪れました。
宇治田原町はお茶の栽培が盛んで、お茶工場やお茶問屋が多くあります。
有名な辻利の工場もありました。
道沿いには誘惑が多くて車で走っていると吸い込まれていきました。(^ ^)
ほうじ茶ソフトクリーム。ほうじ茶がすごく香っておいしかったです。
途中歩いていると茶壷の形をした「茶つぼ窓」がありました。
日本の煎茶(せんちゃ)の祖と言われる永谷宗円(ながたにそうえん)の生家を訪れました。
家の周りにはお茶の木が植えてあります。
中では、ガイドの方が入れてくださったお茶を飲みながら永谷宗円が煎茶を開発した話のビデオを鑑賞しました。
永谷宗円が煎茶を開発するまでは、大まかに2種類のお茶が飲まれていました。
一つは、お茶の木を幕で覆って日光を遮り柔らかい新芽だけを摘んで蒸し、焙炉(ほいろ)の上で乾燥させる「てん茶」と呼ばれる貴重なお茶です。
「てん茶」は抹茶の元となり室町時代以降、茶の湯文化として武家などの上流階級の間で広がりました。
また、お茶の木を幕で覆う「てん茶」栽培は、宇治の特定の生産家「御茶師(おちゃし)」にしか許されていませんでした。
もう一つは、新芽と古葉を関係なく採取して、炒る、蒸す、煮るなどの工程の後に揉んだり、そのままの茶葉をむしろに広げて天日で乾燥させる方法で作られていました。
「釜炒り茶」「日干し番茶」とも呼ばれ、お茶と言うだけに色も茶色で庶民の間で日常的に飲まれていました。
永谷宗円は、「てん茶」製法にヒントを得て露天で育てられたお茶の新芽だけを摘み、焙炉と呼ばれる炭をおこした炉の上に和紙を貼った木枠をおいて、その上で茶葉を揉んで乾燥させる「青製煎茶(あおせいせんちゃ)」の製法を開発しました。
「青製煎茶」の製法で素早く均一に茶葉を乾燥させることにより、お茶本来の持つ色と香りを引き出すことができました。
宗円は、1738年に完成したお茶を江戸の茶商「山本屋」に持って行きました。
今までの茶色のお茶とは異なり、白い茶碗に入れられた鮮やかな薄緑色をしているお茶が山本屋当主の山本嘉兵衛(やまもとかへえ)の目に留まり、飲んでみるとその美味に驚嘆し小判3枚で買い取りました。
そして、このお茶を「天下一」と名付け販売したところ、江戸町民の間で爆発的な人気を呼んだそうです。
その後も宗円は、自らが開発した「青製煎茶」の製法を惜しむことなく人々に伝授しました。
やがて、その製法は広く伝播していき明治時代初頭には全国に普及していきました。
永谷宗円が実際に使っていた焙炉。
かなり崩れているそうです。
炭をおこした焙炉の上に乗せる柿渋を塗った和紙を貼った木枠。この上で茶を揉みます。
お茶作りに使う道具が展示されていました。
永谷宗円は、煎茶作りで得た富をもとに近隣の村の田の排水工事などを行いました。
この地域の田は湿田で長雨の年は米の収穫量が激減し困窮することもあったため、この工事により毎年豊かな収穫が得られるようになりました。
村人たちは喜び宗円の事を「干田大明神」と呼びました。
宗円は、98歳という高齢で生涯を閉じました。
死後、近隣住民は、煎茶作りの功績や地域貢献を称えて「茶宗明神社(ちゃそうみょうじんじゃ)」として宗円を祀りました。
大神宮社(だいじんぐうしゃ)に永谷宗円が茶祖として合祀されています。
ちなみに、永谷宗円から10代目の永谷嘉男(ながたによしお)が1953年にお茶漬けで有名な永谷園を創業します。
また、永谷宗円の生家のある地域を湯屋谷(ゆやだに)と言いますが、地元の人たちは「やんたん」と呼んでいるそうです。
地域の観光交流施設「やんたん」にやって来ました。
施設内は、道の駅のようにお茶やお菓子、茶器を販売していたり、抹茶を作りなど体験ができるようです。
こちらは展示品ですが、茶道具なども販売していました。
煎茶の茶器。
宇治田原町のマスコットキャラクター「茶ッピー」。
そして、奥の飲食スペースでこの地域でよく食べられていた伝統食の「茶汁(ちゃじる)」をいただきました。
ランチョンマットに茶汁の説明が書かれた紙を敷いてくださいました。
それによると、茶汁は茶摘みや農作業の時、お弁当と共に器に味噌、カツオ節と三つ葉などあらかじめ入れたりして持っていきました。
後は畑のそばに生えているセリなどの野草を摘んで入れたものに焚火で沸かした熱い番茶を注いで作った即席の味噌汁を畑仕事の合間に食べていたそうです。
茶汁。
目の前でスタッフの方が番茶を注いでくださいました。
箸でつかんでいるのが味噌玉です。これを番茶に溶かすと味噌汁になります。
番茶の香ばしい香りが味噌と混ざって深みのある味わいでおいしかったです。
新芽の茶葉の天ぷら。揚げたら苦みが減ると思っていましたが、割と苦かったです。
新茶を使った料理は季節限定なのかな?
新芽の茶葉を混ぜたおにぎり。あまり苦みは無くて風味が良かったです。
花形に小皿に入っているのが茶葉の佃煮。こちらもしっかり苦みが感じられました。
その後、宇治田原町から30分位車を走らせたところにある京都府和束町(わづかちょう)に足を運びました。
和束町もお茶の栽培が盛んで宇治茶の40%が和束町で生産されているそうです。
町内には茶畑が何か所もあります。
橋にも茶摘みの絵が描かれていました。
道の駅のような施設に行きました。
店内は、いろいろな種類のお茶が販売されていました。
ほとんど市場に出ない珍しい「てん茶」の茶葉も販売されていました。
お店の奥にあるカフェで新茶を自分で淹れて飲むセットをいただきました。
私は、煎茶を習っているので(現在はほとんどお休み状態ですが)久しぶりに飲んでみたくなりました。
かなり忘れている部分も多いので書かれている通りに淹れてみました。
一煎目は、ポットの熱いお湯を、湯のみ→急須→湯冷まし(急須の隣にあるハート形の器)へと移し替えて器を温めながらお湯の温度を下げていきます。
そして、急須に入れた茶葉に注ぎしばらく蒸らしてお茶を出し湯呑に注ぎます。
ここで肝心なのは、最後の一滴が一番おいしいので、しっかり注ぎきります。
ゆっくり入れたお茶は、うまみが凝縮されているので「ダシ」のような味がします。昔、小学生だった私の弟が初めて玉露を飲んだ時に「青のりみたいな味がする」と言いましたが、その通りだなと思いました。
続いて二煎目、三煎目と入れる時は、最初より熱いお湯で淹れます。
それぞれ味わいが違って三煎目位が普段飲むような苦みのあるお茶に近いような気がします。
最後にお茶の出がらしを添えてあるポン酢をつけて食べてみました。
ポン酢と合っていておいしかったです。
おぜんざいに添えられている塩昆布的な存在感で甘い羊羹など食べたあとにちょうどいいなと思いまいした。
お酒のあてにもピッタリです。
さらに、和束町の石寺という地区にある茶畑を眺めながらスウィーツなどをいただけるカフェにも行きました。
10:00のオープン前に到着しましたが、土曜日だったためかすでに数名の方が並んでいました
その後もひっきりなしにお客さんが訪れる人気のカフェでした。
11:00から始まるランチは予約でかなりの席が埋まっているそうですが、その時間までなら先着順に好きな席に座ることができました。
テラス席に座ってみると目の前には一面に緑が鮮やかな茶畑が広がっていました。
テラス席から見える茶畑。
画像の右端の黒い幕でおおわれている部分が「てん茶」栽培している所かなー?
茶畑をバックに抹茶パフェ。上手に写真を撮るのが難しいです(-_-)。
上に乗っているアイスクリームやクッキーはどれもお茶の味が濃くて目の前の景色と共に最高の味わいでした。
カフェの前の道路を少し歩きました。
雲の影が茶畑に映って絵のようにきれいで見ていて飽きませんでした。
なお、農家さんが大切に育てている茶畑に立ち入ったり、ごみを捨てたり葉っぱを取ったりしてはいけません。写真を撮るときも人物が写らないように配慮が必要です。
今回、宇治茶に縁がある地域をいろいろ巡ってみて緑茶の緑色は当たり前ではなく努力と研究の結果であることを知りました。よく考えてみると他の植物でも収穫後に長期間鮮やかな緑色を保つのは簡単な事ではないなと思いました。
そして、行く先々でお茶に関する食べ物を食べまくって肌も血液も新緑の茶畑のようなお茶色になりそうなくらい堪能できてとても楽しかったです。
そして、宇治には他にもお茶にまつわるお寺などもあるのでいつかまた紹介したいと思います。