器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

京都でフィンランドのデザインに触れる


こんにちは、コタツです。
最近は、一気に気温が上がり、私の嫌いな夏に近づいていると思うと梅雨の曇り空以上に気分がどんよりします。

そんな、曇り空を吹き飛ばしたく、京都にある北欧フィンランドのデザイン溢れるホテルに宿泊して来ました。

行って来たのは、京都市に2019年にオープンした「MAJA HOTEL KYOTO(マヤホテル キョウト)」です。


ホテルの外観の写真撮り忘れました💦(凡ミス)

建物は4階まであり、1階がCAFE AALTO(カフェ アアルト)で2階から上がMAJA HOTELになります。




中に入ると早速フィンランドの建築家でありデザイナーのアルヴァ・アアルトがデザインした
「ゴールデンベル」の愛称で親しまれるペンダントライトが出迎えてくれます。


ホテルにチェックインして宿泊スペースに行きます。


こちらのホテルはハットと呼ばれ、カプセルホテルのような作りをしています。(鍵は掛かりませんが、歩いて入れる個室タイプのウォークインハットもあります。)


本日の寝床。



アメニティ。
トートバッグはいただけるそうです。
無印っぽいパジャマを借りられます。
朝の洗面所で全員このパジャマ姿で洗顔などをしていて、何かの合宿みたいでなかなかシュールな光景でした。


「MAJA HOTEL KYOTO」は、フィンランドのデザイナーのハッリ・コスキネンによってデザインされました。




ハット内のハンガーやハンガーラック、照明のスイッチは、このホテルのためにデザインされました。


ハンガーはかなり重みがあります。
以前ネットで画像を見た時に矢印の部分の隙間に衣類が引っかからないか気になっていましたが、ちゃんとカバーがしてありました。




ハットのロールカーテンは、フィンランドのファッションブランド「marimekko(マリメッコ)」製で、こちらもハッリ・コスキネンのデザイン「Maja Kioto」です。
シーツやマクラカバーにもこのデザインが使われています。


ホテルの中の椅子やテーブルは、デザイナーハッリ・コスキネンと工芸ブランド『iwatemo』によって共同製作されたそうです。


ゴミ箱。


洗面所と椅子。
洗面所、トイレ、シャワールームは共用です。




共用スペースのテーブルと椅子。



共用スペースでは、キッチンがあり自由にコーヒーを入れたり、電子レンジでご飯を温めて食べることができます。




フィンランドの食器メーカー「iittala(イッタラ)」などの食器類を自由に使うことができます。


自由に抹茶を点てられるセットもありました。


ハッリ・コスキネンの代表作の一つ「ブロックランプ」が置いてありました。
氷の中に電球を閉じ込めたような美しいデザインです。




フィンランドに関する本がいろいろ置いてあったので、アルヴァ・アアルトについて猛勉強?してみました。

実は、以前から北欧に行きたくて北欧の工芸などを調べていたので、アアルトについてほんの少しだけ知っていました。(名前となんか凄いらしい程度)

アルヴァ・アアルト(1898〜1976)は、近代北欧デザインの礎を築いたと言われる世界的な建築家であり家具、ガラス、テキスタイルなどのデザインも手掛けました。

パイミオと言う地域で1933年に建てられたサナトリウム(結核療養所)では、建物だけでなく内部の家具も全てデザインしています。

患者が休みやすいように照明の位置を工夫したり、音が鳴りにくいように洗面台を深めに設計するなど、患者の視点からのデザインを心がけました。

1935年にアルヴァ・アアルトの妻で優れたデザイナーであったアイノ・アアルトや仲間たちと共にアアルトがデザインした家具を扱う「Artec(アルテック)」を創業しました。


アルテックのガチャがホテルに置いてありました。
店員さんによるとこのガチャはもうすぐ撤去されるそうです。


アアルトは、優れた建築物を多く残していますが、家具製作においても長く愛される名品がいくつも誕生しました。

その中でも1930年に開発された国産の白樺の無垢材を90°に曲げた「L-レッグ」と呼ばれる技法を使って作られた椅子やテーブルが有名です。



L-レッグをガチャの模型とヘタクソな絵で説明すると、無垢の木材に切り込みを入れ、その中に接着剤を含ませた薄い板を入れて曲げます。(実際は、もっと細かく切り込みが入っています。)

こうすることで無垢の木そのものを曲げるよりも強度が保たれるそうです。

当時パイプ製の家具が流行していた中、アアルトは、「国産の白樺を使うことこそ未来につながる意義のある事」だと信じていたそうです。




翌朝、朝食を1階の「CAFE AALTO(カフェ・アアルト)」でいただきました。

CAFE AALTOは、フィンランドのヘルシンキのアカデミア書店の中にあり、ヘルシンキでレストランを営む日本人女性を描いた映画「かもめ食堂」でも主人公がCAFE AALTOを訪れるシーンがあります。

そして、2019年に世界初出店の2号店が京都にオープンしました。



青いタイルが印象的な店内には、ヘルシンキのお店で使われている椅子やテーブルが京都店オープンのために特別に再生産されました。


真鍮(しんちゅう)の脚のソファ。
座り心地が良かったです。


大理石のテーブル。


イッタラ製 アイノ・アアルトデザインのタンブラー。


朝食は、サーモンスープとコーヒーのセットに別でシナモンロールを頼みました。


サーモンのかたまりがゴロゴロ入ってました。
旨味がよく出たおいしいスープで、食べ応えがありました。

白い食器はイッタラ製でジャスパー・モリソンデザインのRaami(ラーミ)と言うシリーズだそうです。





店員さんにいろいろお話を伺っていたらRaamiシリーズのパンフレットをいただきました。




上から見ると外側に下がった広めのフチが重厚感を感じますが、表の形に沿うように薄く作られています。
見た目より軽い。(コレ大事!)
器を持つ時もフチの部分の指がかりが良くて、持ちやすいです。

私も、自分で形を考えて皿を作る事がありますが、お椀やコップのように高さのある物を表現するより、皿みたいな平べったい物できれいな形を考えるのは難しいなと日々感じています。

そう考えると、白で印象に残るデザインを考えられるデザイナーさんはすごいなと思いました。


そして、ぜひ食べてみたかった本場の味のシナモンロール。でかい!
甘さ控えめでおいしかったです。


ミルクピッチャーも気になる。
後で調べたらイッタラ製カイ・フランクデザインのTEEMA(ティーマ)シリーズでした。

フタには硬い木が使われていました。樫(かし)の木かなー?
以前はコルクだったそうです。

どういう感じで栓がされてるのか気になりすぎて開けてみる。
木にパッキンがはめてありました。

店員さんには許可を頂いたとはいえ、嬉しくていっぱい写真を撮りまくってしまいました💦


スープとシナモンロール両方ともとてもおいしくて結構ボリュームがあり、かなりお腹いっぱいになりました。

今回は、CAFE AALTOでの朝食付き宿泊プランがキャンペーンですごく安くなっていて、そちらを利用しました。
カフェのメニューは、北欧価格で結構お高めです。
でも、サーモンスープや本場の味のシナモンロールは他ではなかなか味わえないと思うので、また、食べに訪れたいと思いました。
他のケーキとかも気になります。

普段私は、京都に出かけるとき日帰りすることがほとんどですが、今回MAJA HOTELが安くなっていた事もあり泊まってみる事にしました。

そして、北欧デザインを見て「オシャレ〜」とか「カワイイ〜」とか思いながら軽い気持ちで楽しむつもりでした。

しかし、人の暮らしや国の未来を豊かでより良いものにしようと考えていた、アルヴァ・アアルトのデザインの思想の片隅に触れて、僅かながらも器を作る私にとって身の引き締まる思いがして、とても刺激を受けました。


また、フィンランドのデザインに触れるためMAJA HOTELに泊まってみたいと思いました。