こんにちは、コタツです。
前回の記事から引き続き京都を訪れた話です。
6月とは思えない程の真夏日の中、暑さでフラフラになりながらレトロな喫茶店を巡りました。
まずは、モーニングを食べに「イノダコーヒ」の本店に行きました。
イノダコーヒの本店は、堺筋通りを三条通りから下った所にあり1947年に開店しました。
常連客に作家の谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)や池波正太郎(いけなみしょうたろう)、映画監督や文化人に愛されたお店です。
手前のモダンな建物が旧館で隣の日本家屋みたいな建物が新館になります。
朝の9時頃到着すると、すでに店内は満席でお店の前には並んでいる人がいました。
お客さんの回転は良くて思ったより早く席に案内されました。
グラスやペーパーナプキンにもお店のロゴがプリントされていました。
ホットドッグセットを注文しました。
ドリンクかスープを選べたのでスープにしました。
ホットドッグにはエビフライが挟まれていて、
揚げたてのアツアツで火傷しそうになりました。
スープはマッシュルームのスープであっさりしておいしかったです。
旧館と新館をつなぐ廊下にはインコがいました。
今回は、新館の席に通されましたが旧館も雰囲気が良かったのでこちらでケーキ食べながら、谷崎潤一郎の「細雪」を読みたいなと思いました。(面白いけど家で読んでるとなかなか読み進まないです。)
続いては、四条木屋町通にある「フランソア喫茶室」を訪れました。
フランソア喫茶室は1934年に開店し、1941年に大規模な改装が行われその姿は現在まで続いています。
第二次世界大戦の戦時下では、敵性語が禁圧されたため店名を「都茶房」に変えて言論が制限される時代の中、思想や芸術を自由に語り合える場所を守りました。
2003年に喫茶店として初めて国の登録有形文化財に指定されました。
窓際の素敵な席に通していただけました。
店内は、人が多くてあまり写真を撮れませんでしたが内装は、豪華客船のホールをイメージしたイタリアのバロックが基調の装飾が施されています。
天井のガラス絵。(貝の絵?)
木製のソファはまるでヨーロッパの教会を思わせます。
プリンをいただきました。
上に乗っているドライオレンジがステンドグラスのように見えてきれいです。
プリンは昔ながらの固めタイプでとてもおいしかったです。
ペーパーナプキンやスプーンやお皿も店内の雰囲気と合っています。
お店には行列こそありませんでしたが、土曜日だったこともありひっきりなしにお客さんが訪れていたので1人で4人掛けテーブルを独占するのが申し訳なくなり、食後すぐにお店を出ました。
こちらは夜の22時まで開いているそうなので、平日の空いてる時間にまた訪れてゆっくりしたいと思いました。
次は、京都の中心部から少し離れて上賀茂神社の近くにある「ひめりんご」に行きました。
YouTubeで紹介されていて、ぜひ行ってみたいとお店でした。
雰囲気は、昔よく見かけた喫茶店と言ったイメージです。
なぜ、行きたかったかと言うと、
木彫りの看板やドアや窓のリンゴのかざりがかわいくて、ものすごく好みのデザインだからです。
ちょっと今の時代から取り残されたような素朴なかわいらしさは、あまり見かけないなと思います。
お店は老夫婦が切り盛りされていました。
テーブルにはタイルがはめ込んでありました。
陶器の絵。
貝のフタのシュガーポット。
レバーを傾けるとフタが開きます。
フルーツサンドウィッチを注文しました。
色合いがきれいで端の方にもフルーツがぎっしり入っていました。
季節のフルーツを挟んでいるのだと思いますが、キウイの他にスイカが挟まれていて不思議な味わいでした。
こちらのお店はシャーベットを盛り付けたパフェも人気で、これからの暑い季節にぴったりです。
近所にあったら常連客になりそうな素敵なお店でした。
そして、再びバスに揺られて丸太町通りまで戻り京都市中央図書館近くの、「CC'S(シーシーズ)」と言う喫茶店に行きました。
こちらのお店は、1974年に米国の詩人Cid・Corman(シド・コールマン)と日本人女性の夫婦が開店しました。
現在は、奥様の姉妹が店主をされているそうです。
店内は畳張りの椅子があるなど、田舎の茶屋のような雰囲気です。
その中にドカンと置いてあるケーキのショーケースが存在感を放っています。
ショーケースは昔は回転していたそうですが、壊れてしまい今は動かないそうです。
中にはアメリカの家庭で食べられているようなケーキが入っていました。
エンゼルフードケーキを注文しました。
赤い砂糖漬けのチェリーが乗っています。
季節によっては生のイチゴを使用するようです。
スポンジはもっちりしていて素朴な味わいです。
間にジャムが挟まっていて、花のような良い香りがしました。
クリームはバタークリームかなと思いましたが思ったより軽い生クリームでした。
どこかクセになる味わいで、この記事を書いていてもまた食べたいなぁと思います。
当時の店主シド・コールマンと交流があった詩人の草野心平(くさのしんぺい)が一緒に写った写真が壁に飾られていました。
草野心平と言えば学生時代の国語の授業で習った「生殖I」のただ「るるる…」の文字が並んだ詩に意味わからんすぎて衝撃を受けた思い出があります。
草野心平がCC'Sのケーキについて書いた詩。
後から、女性2人組が入って来て「ここモンブランがおいしいらしいよ!」と話していました。
次来る時はモンブランも食べたいなと思いました。
そして最後は、タレントの中川翔子さんなどがYouTubeで紹介していた人気店「喫茶ソワレ」に行きました。
場所は四条通りから木屋町通りを上った所にあります。
日曜日の16時頃に行くとお店の前には行列ができていました。
正直な所こちらのお店は、なぜか私的にあまり魅力を感じなくて最初行く予定をしていませんでした。
でも、せっかく近くまで来たんだしとりあえず行ってみようとお店に向かいました。
2日間歩きまくって暑くてフラフラな中、お店の前の行列を見た瞬間「やっぱりいいや」と思い一度は行かずに帰ろうかと思いました。
ですが、新型コロナでの長い外出自粛期間を過ごしたことで、「行ける時に行っておかないと
また、いつダメになるかわからない」と言う気持ちもあり、涼しい所で1時間以上休憩しながら考えて、もう一度行ってみることにしました。
17:30過ぎ再びお店に行くと行列が短くなっていました。
お店の正面は、葡萄やフルーツの木彫りで装飾されています。
これを見て、やっぱり来てよかったとテンションが上がりました。
ショーケースの中も女性の絵や器が飾られていました。
2階の席に案内していただきました。
コップには、昭和の洋画家の東郷青児(とうごうせいじ)の絵が描かれています。
青い照明に照らされて幻想的な雰囲気の店内です。
これは、創業者の友人であった染色家の上村六郎(うえむらろくろう)が「青い光は女性が美しく見え、男性が若々しく見えるから」とアドバイスしたからだそうです。
人が多くてあまり写せませんでしたが、店内の至る所に木彫りの彫刻が施されています。
この彫刻は、創業者の釣り仲間であった彫刻家の上村貞春(いけのさだはる)が手掛けたものだそうです。
メニューが入っている箱も素敵です。
人気メニューのゼリーポンチをいただきました。
ソーダ水の中の色とりどりのゼリーが宝石のように輝いて、うまく言えないけどファンタジーの世界のデザートみたいです。
シンプルな味わいのゼリーポンチですが、お店の青い光や木彫りの彫刻などに囲まれていただくと絶品でした。
本当に来て良かったと嬉しくて涙が出そうなほど感動しました。
店名の「ソワレ」は、夜会と言う意味で、1948年にオープンし芸術家や文化人によって創られ開店当時の雰囲気を今に残しているそうです。
お土産に買ったポストカードとお店のパンフレット。
お店を後にして大満足で帰路に着きました。
日が落ちてわずかに涼しくなった鴨川の川べりには多くの人が座っていました。
京都は、平安時代から現在まで歴史の表舞台になる事が多く、ミルフィーユのようにその時代ごとの文化が積み重ねられていきました。
昭和初期には周囲に大学も多く若い人たちが集い、喫茶店には憩いの場の他に新しい文化を産み出す場として重要な役割を持っていました。
そして、古いものを否定せずに新しいものを受け入れる事でこれからも京都の重厚な文化が形成されていくのだなと思いました。
美大生の作品が展示されているスタバ。
これも後々京都の歴史文化の1層になるのかな?
そして、老夫婦が営む喫茶店にも後継者がいてずっと守られていけばいいな。