器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

ケーキボードに漆を塗る -1-

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こんにちはコタツです。
今回は先日作ったケーキボードに漆を塗ろうと思います。
ふき漆(すり漆とも呼ばれる)と言う技法で塗っていきます。
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漆を塗るのに必要な物
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漆と漆刷毛。漆は生漆(きうるし)と言って木から採取した漆を紙で濾してゴミを取り除いたものを使います。
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まず最初に刷毛(はけ)を洗います。前回使った後に刷毛が固まらないように油を含ませているので、ヘラを使って油をしごき出した後、溶剤(灯油やテレピンなど)を付けた刷毛を机の盤面に擦り付けて油を取ります。溶剤をよく拭き取った後、刷毛に漆を付け再び盤面に擦り付け刷毛に含まれてるゴミを出します。これを何回か繰り返して準備完了です。
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最初に木地に漆を塗る工程を木地固め(きじがため)と言い漆を木地に吸わせます。その際、吸い込みを良くするため漆を純テレピン油で希釈して塗ります。純テレピン油は松の根っこから精製した油です。
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漆とテレピンをよく混ぜます。
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刷毛を同一方向だけでなくいろんな方向に動かして木目の隙間にも漆が行き渡るように擦り付けるように塗ります。
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塗り忘れなく全面に漆を塗ったら紙で拭き取っていきます。紙はホームセンターなどで売ってるペーパーウエスなどを使ってます。キッチンペーパーでもできますが、途中破れやすいので使いにくいと思います。
拭き残しが無いようしっかり拭けたら漆を固めるために風呂棚または、室(むろ)と呼ばれる杉の木で作った棚に入れます。と、言っても持って無いので今回は衣装ケースで代用します。
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底に濡れタオルを敷き、百均で買ったすのこを置いてその上に漆を塗った物を並べます。f:id:cotatumuri-N:20201120221200j:plain
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外から見るとこんな感じ。
久しぶりに漆を塗ったら量がわからず余ってしまったので急遽その辺にあった木地に塗ります。
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塗り終わったら漆刷毛を洗います。
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見えにくいですが、ヘラを使って刷毛に含まれている漆をしごきだしています。
その後、溶剤で余分なうるしを取ります。f:id:cotatumuri-N:20201120223816j:plain
最後に油をつけた刷毛を盤面に擦り付けて刷毛の内部の漆をとりヘラで油をしごきだす作業を油がきれいになるまで繰り返したらラップに包んで終わりです。
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刷毛を洗う作業はとても重要で適当にやってると次回使う時ゴミだらけの刷毛になります。油をつけると漆は固まらないのですが、そのままにしておくと漆が固まってしまいその部分は2度と使えなくなります。
刷毛は人間の髪の毛で作られていて、持ち手の部分に膠(にかわ)で固めた毛が鉛筆の芯のように入ってます。半分の物もあれば、持ち手の端まで入ってる物もあります。先の部分が消耗したら、それこそ鉛筆のように削り出して新しい部分を使います。
刷毛の掃除が終わったら使った道具を溶剤できれいに拭き取って終了です。
作業中あまりいろんな所を汚さないようにすることが、漆かぶれを防ぐコツです。弱い人は何してもダメですけど…。

漆を固めるには、だいたい温度が20℃〜30℃湿度75%~80%位が良いそうです。湿度と温度が高めだと漆は早く固まり色も濃くなります。
最初の木地固めの後は内部に染み込んだ漆をしっかり固めるために時間を長くおきます。タオルが乾いてないか時々チェックしたり、寒い日は出来るだけ部屋を暖かくした方がよいです。


ちょっと長くなりそうなので続きは次回にします。