器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

スタインベックの「朝めし」


こんにちはコタツです。
12月に入りましたが、例年より寒さをあまり感じることなく過ごしやすい日々が続いています。
今回は、前から一度やって見たかった、スタインベック作の短編小説「朝めし」を自分なりに解釈し再現(?)してみました。

「朝めし」の作者であるスタインベックはノーベル文学賞を受賞したアメリカの小説家です。

代表作は映画化もされた「怒りの葡萄」や「エデンの東」などがあります。


「朝めし」はこちらの短編集に収録されていて、たった5ページのとても短い話です。

話の内容は、「旅人の私」が夜明けの道沿いで、労働者家族に誘われて朝食を一緒に食べるだけの話です。

この小説は、私が高校時代に国語の授業で習いました。
教科書には載っておらず、国語の先生が授業のためにプリントして配られました。

先生がどんな意図でこの小説を紹介したかは忘れてしまいましたが、当時から食いしん坊だった私はこの小説の食事風景が強く印象に残りました。

まず、小説で出てくるストーブの代わりに以前紹介したホエーブス625を使います。
www.utuwa-tabemono.com


以前は途中で火が消えてしまって使うのを断念しましたが、部品を交換したら復活して使えるようになりました。


早起きして焚き火okの河原に来ました。


急いで火をおこします。


この物語で印象的に書かれているベーコンを焼きます。


ベーコンがカリカリに焼けたらパンと甘いコーヒーを用意して、「朝めし」セット完成です。
料理だけ写真撮ったらただのキャンプ画像なので、小説も一緒に記念撮影しました。


物語に出てくる労働者のお父さんのように、パンにベーコンの油をつけて食べてみます。
体に悪そうだけど、「うまーい!」
そして、それを甘いコーヒーで流し込む。

目の前には、どんどん変わっていく夜明けの空!
「最高やー!」
早起きしてよかったと思いました。


今回改めて「朝めし」を読んでみた感想は、翻訳者の大久保康雄さんの描写が上手なのか、映像のイメージに加えて、ピリッとした寒い朝の冷気やその中で燃えるストーブに近づいた時に顔がぽぅっとなる感覚も、まるでその場にいるようにイメージできます。

食べるシーンの中でベーコンの油をかけたパンを「ぐしゃぐしゃ」頬張ると書かれていますが、油をつけたパンを勢いよく食べる音を表すには「ぐしゃぐしゃ」と言う表現がぴったりだなと感じます。

さて、この「朝めし」が収録されている短編集を全部読んでみたのですが、他の作品は「朝めし」のようにほのぼのした内容では無く、むしろ、その真逆の後味の悪い展開の話がほとんどです。

異常なまでに庭作りに執着する婦人の話や、人を殺して逃げる男の話など、描写が上手なせいで不快な表現のイメージがリアルに伝わってきて読み終えるとモヤモヤした気分がなかなか抜けません。

そのような作品が多い短編集の中で「朝めし」は、異質に感じるくらい幸福感にあふれた物語だと感じました。