器とたべもの

食べ物や器のことをとりとめなく書いていきたいです。時々木の器を作ってます。

朴(ほお)の木と葉の話 2021

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こんにちはコタツです。
奈良県では田植えも終わり水鏡の様だった田んぼも少しづつ鮮やかな緑色の苗が存在感を増しています。

今年も朴の木に若葉が繁る季節がやって参りました。
昨年、このブログで洞川温泉(どろがわおんせん)の朴葉寿司を紹介しました。
www.utuwa-tabemono.com

今年は、図書館で見つけた東吉野の郷土料理の本の表紙に載っていた「でんがら」と言う朴葉を使った餅菓子について調べてみました。
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「でんがら」は、端午の節句にちまきと共に作られる餅菓子で奈良県では主に東吉野村と川上村で作られていたそうです。
木の枝をそのまま使ったワイルドな姿に興味をそそられ、実際にでんがらを食べてみたくなり東吉野村の道の駅「ひよしのさとマルシェ」に
行って来ました。
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数年前の誰かのsnsでこちらのでんがらが紹介されていたので、売っていないか期待していましたが、残念ながらありませんでした。代わりにと言っては何ですが朴葉寿司が売っていました。
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昨年紹介した洞川温泉の一切れサイズの朴葉寿司と違い、朴葉を目一杯使った切り分けて食べる大きなお寿司です。朴葉の鮮やかな緑がきれいで、お寿司もとてもおいしかったです。

ひよしのさとマルシェを後にして、車で国道166号線を25分程走ると三重県飯高町に入ります。
調べてみると、飯高町にも「でんがら」があるそうです。
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166号線の道沿いにある「おふく茶屋」に行きました。
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飯高町のでんがらは四角い形をしています。
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こちらの中身はよもぎ餅でしたが白い餅もありました。包みを開けると朴葉の香りが少ししました。
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飯高町はでんがらが郷土菓子として割と有名で、テレビ番組にも紹介された事があるそうです。

飯高町で、でんがらに出会えたもののやっぱり枝付きのでんがらが食べてみたいので、今度は奈良県川上村に行きました。数年前のsnsではでんがらの記事は見かけましたが、残念ながら手に入れる事は出来ませんでした。

柿の葉寿司のお店に入った時にお店の人にでんがらについて尋ねて見ると、その場にいた数人の方が口々に「昔は作ってたけど今は作って無いわね〜」と話されていました。なんでも朴葉の香りが強くて苦手な人が多いのだそうです。

作られなくなった原因の一つに朴葉の香りが挙げられたのはとても意外でした。
私は自分達で採ってきた朴葉で朴葉飯を作ったり、洞川温泉や東吉野村の朴葉寿司を食べたりしたけど朴葉の香りがキツいと感じた事は無かったです。

その後もあきらめの悪い私はでんがらの事を調べていると、長野県木曽地方の郷土菓子に「朴葉巻き」と言う「枝付きでんがら」とそっくりな餅菓子がある事を知りました。

何件かの和菓子屋で作られていて早速お取り寄せしてみました。
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長野県の御菓子司宝来屋さんで買いました。お店の紙袋にも朴葉巻きの絵が描いてあります。
朴葉巻きも端午の節句や朴葉の若葉が繁る初夏の季節に食べられます。宝来屋さんでは5月中旬から7月末まで販売しているそうです。
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枝付きのままクール便で届きました。
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枝からちぎって食べます。
味は蕎麦生地に粒あん、米粉生地にみそくるみあんと同じく米粉生地にこしあんの3種類があります。
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白みそくるみあんです。一口食べると朴葉の強い香りが口いっぱいに広がります。今まで味わった中で一番強烈な香りです。奈良県川上村の人が言ってた好き嫌いが分かれると言うのがわかります。
香りのクセはかなり強いですが、中のみそくるみあんとの相性が良くて私は3種類の中で一番好きでした。
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蕎麦生地の粒あん。蕎麦の風味と朴葉の香りがちょっと合わないかなと思いました。でも、おいしかったです。

木曽地方では出来立てを食べるより朴葉の香りが餅にしっかり付いた2日目のものが好まれるようです。この好みの違いが朴葉巻きが木曽地方では今でもメジャーなお菓子として残ったのかなと思いました。

奈良のでんがらと長野の朴葉巻きは、どこから始まってどのルートを通って伝わったのか?そして、三重県飯高町では四角い形だったのは何故なのか?また、来年のこの季節までにいろいろ調べて見ると面白いと思いました。


さて話は変わって今度は朴の木の話です。
先日ホームセンターで朴の板を手に入れました。
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赤太部分で木目も細かくてまっすぐないい材料です。この板で木べらを作ろうと思います。
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だいたいの形を決めて型取りします。

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型に合わせてノコギリできり落とします。

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後はひたすら切り出し小刀で削ります。もっと要領いい方法があると思いますが、私は木を削るのが好きなので今回は気長に削ります。

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板に厚みがあるため全体的な厚みを調整します。
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こんな感じで良いかな?とりあえず完成!
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使うかわからんけど柄に穴開けとこう。

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早速使ってみました。
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今まで料理するときは愛用の木しゃもじを使っていましたが、引っ越しのドタバタで失くしてしまいました。それからは、本来は汁をすくったりする用途の同じく朴の木で作られた有働杓子(うとうしゃくし)に炒めものやチャーハンにとかなり活躍してもらっていました。これからはこの木べらに頑張ってもらいます!
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カレーも底を焦がさないようにかき混ぜやすいです。これなら気兼ねなくいろいろな料理に使えそうです。

朴の木は軽くて柔らかく加工しやすいので、タンスなどにも使われるそうです。轆轤(ろくろ)で器を作るときの型に使ったりもします。

朴の木は山間部の人々の暮らしにはとても身近な存在であったと改めて感じることができて興味深かったです。

本当はもっと早くに記事を公開したかったのですが、このブログ書くの遅すぎてすっかり朴葉の若葉の季節が終わりに近づいてしまいました。 (TT)